人間の限界に挑む姿勢治療家:レース『トルデジアンTOR330』とは
こんにちは、トル・デ・ジアンTOR330に挑戦している姿勢治療家(R)の仲野孝明です。今回は、この大会「トル・デ・ジアン」について詳しくご紹介します。
一言で伝えると、
獲得累積標高24,000mイタリア北部山岳地帯を、
制限時間150時間以内、6日間で330kmを死に物狂いで駆けずり回るレースです。😆
目次
1. はじめに
トル・デ・ジアン(Tor des geants)は、巨人の旅、巨人のレースと訳されます。
巨人とは、ヨーロッパのアルプスの4大名峰
・モンテビアンコ(モンブラン)4807m
・グランパラディーゾ 4061m
・モンテローザ 4634m
・モンテチェルビーノ(マッターホルン)4478m
に出会う旅の意味を持っています。
イタリアの北部、アオスタ州を330km移動し、150時間以内に24,000m以上の標高を登ったり降りたりする大会です。
素晴らしい景色をつないでいるので、景色は晴れば絶景です。
Photo by Akira Sakamoto
姿勢治療家(R)としては、
人間が本来の姿であるための究極の挑戦は、人類の歴史に立ち返ることではないかと考えています。600万年の人類の歴史、そして現生人類としての20万年のDNAを受け継ぐ私たちにとって、これほどの挑戦でも決して不可能ではないはずです。
現代の文明の進化により、私たちは快適で便利な生活を送っています。雨風をしのげる住居、快適な気温を保つエアコン、遠くまで移動できる公共機関や車、バイク、飛行機などが当たり前となっています。しかし、こうした便利な生活の中で、私たちの体は本来の機能を失いつつあります。靴を履いて動かなくなった足、真っ平らなアスファルトの道、エレベーターやエスカレーターで登れなくなった脚などです。
人間は本来、岩や土ばかりの地形を歩いて移動していました。この原点の動きを最も体験できるのがトレイルランニングです。自然の中で動くこと、これは人類が二本の足と物を持つ手で移動する本来の姿です。
トレイルランニングのレースでは、山賊もいなければ、食事も提供されます。安心安全な環境で、姿勢の実験を行うのにこれほど適した場所はないと考えています。そんな最高峰のトレイルランニングの大会がトル・デ・ジアンと理解しています。笑
2. 距離や高さをイメージできない方へ
トル・デ・ジアンはイタリアの壮大な自然を舞台に、距離330km、高低差24,000mという驚異的なコースを走り抜けるものです。
330kmという距離は、東京から名古屋市、金沢市、仙台市までの距離に匹敵します。この区間の山岳地帯を走り抜ける感覚です。その間に獲得する標高は驚異の24,000mです。この数字をわかりやすく説明するために、富士山を例にとってみましょう。富士山の一般的な5合目から山頂までの標高差は約1,500mです。タワーマンションの25階が100m相当と言われていますので、15本分が富士山の一般的な登山になります。トル・デ・ジアンでは、24,000mを繰り返すので、タワマンですと240本の登りと降りになります。
姿勢治療家(R)として、この挑戦を通じて、体の使い方やメンタルの強さを試す絶好の機会と捉えています。私は、人間の潜在的な能力を信じています。
3. 大会の詳細
大会概要:
トル・デ・ジアンの開催期間中には様々な距離のレースがあります。
レースウィークとして1週間お祭りのようになっています。
大会には5つの種類があります。
- TOR330(9/8-9/14 TOR DES GEANTS®️ 330km 獲得標高24,000m 制限時間150時間 1100名) 1番のメインレースで、私はこちらに参加します。抽選方式で倍率は3倍です。
- TOR 450(9/6-14 TOR DES GLACIERS 450km 獲得標高32,000m 制限時間190時間 200名) トル・デ・ジアンの10周年記念でできたレース。TOR330を130時間以内に完走した人のみが出場できます。難易度が高く、古代の氷河や忘れ去られた登山道を使います。
- TOR130(9/10-12 GRASSONEY-COURMAYEUR 130km 獲得標高12,000m 制限時間44時間 500名) グラッソネイからクールマイヨールまで。UTMBシリーズのCCCに似た位置づけです。
- TOR100(9/11-13 CERVINO-MONTE BIANCO 100km 獲得標高8,000m 制限時間40時間 250名) マッターホルンからモンブランまで。今回初開催のレースです。
- TOR30(9/14 PASSAGE AU MALATRA 30km 獲得標高2,000m 制限時間8時間 500名) マラトラからクールマイヨールまで。最後の区間だけを走る大会です。
家族でも楽しめるように、様々な種類のレースがあります。
TOR330(通称:トル)
- 大会名: トルデジアン(Tor des Géants)
- 開催国: イタリア
- 距離: 330km
- 高低差: 24,000m
- 制限時間: 150時間
- 参加者数: 1100人(世界中から集まる)日本人60名予定
- 抽選倍率:3倍
- 参加権利:だれもで参加も申し込みは可能
- 費用:1000EUR
地図やコースプロフィール:
こちらが大会のコースマップと高低差のプロフィールです。見ていただくと分かるように、険しい山岳地帯を何度も越える非常にタフなコースとなっています。詳細や戦略は別のブログで検討していきます。
2023 TOR330-elevation profile 20230829 (1)
4. 大会の魅力と難易度
大会の魅力:
TOR330 – トル・デ・ジアン®は、長距離とランナーの個々のスタイルを組み合わせた初めてのレースです。この大会では、組織が強制的なステージを設定せず、休憩やリフレッシュのタイミングと時間をランナー自身が決めます。
最短時間で完走したランナーが勝者となるため、各自の戦略が試されます。
この挑戦の難しさが、私にとって最大の不安要素です。
自分がどれだけ移動できるのか、どれだけの睡眠時間が必要なのか、どの程度の休息で回復できるのか?食事はどれだけ摂取できるのか?天候に対する自身の対応レベルはどれほどか?これらすべてが試されるのです。
古代の方であれば、この程度の移動は簡単だったと想像できるのですが、現代人で育った私にはどれも未体験なので、この未体験ゾーンを体験できることにも少しワクワクと不安が入り混じってます。
アルプスの最高峰である四千メートル級の山々のふもとを走り、グラン・パラディソ国立公園(大いなる楽園)とモン・アビック地域公園という素晴らしい巨大国立公園を通過するため、壮大な景色が広がり、非常に魅力的です。
イタリアの美しい山岳風景を楽しみながら、自分の限界に挑戦できることは、何物にも代えがたい経験になりそうです。
大会の難易度:
非常に高い難易度になります。24,000mという高低差は、エベレストを3回以上登るのに匹敵します。私が以前2022年に走ったUTMBの100マイルの倍の距離があり、獲得標高は2倍以上です。少人数の大会には、もっと長いものもたくさんありますが、町がサポートして多くの方が参加する大会としては、世界最高峰の難易度だと思います。2000m〜3000mの高所と天候の激しい変化や睡眠不足と戦いながら完走を目指さなければなりません。
5. 姿勢治療家(R)としての挑戦
走りたくなった理由:
この大会に挑戦しようと思ったきっかけは、UTMB(トルデジアンの1週間前にフランス・シャモニーで行われいる大会)を完走した方達が次なるステップとして挑戦している姿を見たことです。トレイルランニングの世界は、UTMBの100マイルを頂点に成り立っているのが現状です。しかし、私にとって大会はあくまで姿勢治療家(R)の考える、人間本来の身体の使い方の実験検証の場です。考えている身体の使い方が実践できるか、その内容が本当に通じるのかを確かめるために挑戦してきました。
UTMBまでの経験から、手応えを感じました。この先挑戦しなくてもよかったのですが、人生は一度しかないので、やりたいと思ったら挑戦してみたいと思い、気軽な気持ちで申し込んだのが2023年です。
練習量を増やさず走力が足りないことを自覚していたので、2023年は怪我の予防として見送りました。そして、2024年2月1日、再び申し込みました。今回は2023年9月から少しずつ東京マラソンに向けて走り込んでいました。当選したら参加する意志はありましたが、簡単には当たらないレースです。体力だけでなく、運がなければ出場できないのが抽選レースです。2月14日の発表の日に落選しました。
運が逃げたかと思っていましたが、水曜飛脚に来ていた夏目さんから補欠当選があったと教えられ、3月25日に当選を確認しました。本番まで5ヶ月しかありませんでしたが、9月の予定は幸い調整可能だったため、妻の誕生日の3月26日にエントリーしました。
未知の自分と向き合う怖さもありますが、自分の考えている身体の使い方を本番でしっかり出力できる160時間の実験ができるまたとないチャンスです。
挑戦と目標:
私はこの大会に参加することで、正しい姿勢と体の使い方がどれほど重要かを実感し、それを皆さんに伝えたいと考えています。正しい姿勢を保ちながら、この過酷な大会を完走することで、体への負担を最小限に抑え、効率的なランニングや移動が可能になることを証明したいです。
330kmの間、制限時間の6日間と6時間以内にゴールしたいと考えています。
トレーニングの様子や準備:
「こちらは大会に向けたトレーニングの様子です。日々のトレーニングに加え、特に重視しているのは体幹の強化と足腰の柔軟性を高めるエクササイズです。」
2011年、全く走れなかった私が38歳でフルマラソンに挑戦した時がスタートでした。13年経過し、トル・デ・ジアンに挑戦できる状態まで進化し続けています。現在50歳、私の人生史上で最も走れる時期と言っても過言ではありません。人間が走ることの大切さを実感しています。
5. 最後に
結論:
トル・デ・ジアンという大会は、ただのウルトラマラソンではありません。私たちの身体能力や精神力の限界を試し、新たな自分に出会うための挑戦です。私の挑戦を通じて、皆さんも自分の可能性を広げるきっかけにしていただければ幸いです。
この挑戦の様子は、ブログやSNSで随時更新していきますので、ぜひフォローしてください。応援や質問もお待ちしています!
補足資料
- 動画: 2023年にノースフェイスが土井さんをサポートした時の動画です。大会のイメージがわかりやすいかと思います。
- インタビューやブログ記事: 過去の完走者や大会関係者へのインタビュー記事
◯朽見太朗さんトークショー【Tor des Glaciers】報告会(2023年TOR450)
https://youtu.be/6Q1fTb1gnGo?si=OZAYtfG97qzt73LR◯土井陵(2023年TOR)
https://grannote.jp/archives/1556743◯Masashiさん(2022年TOR)
https://note.com/masashi55/n/naef4613f0d00◯3児のパパのトレラン日記UTMB3回完走(2019年TOR)
https://ameblo.jp/yanasan25/entry-12559555029.html◯谷允弥(2019年TOR)
https://grannote.jp/archives/1551970◯名前が探せず。。橋爪さんサポート (2019年TOR)
https://ayumuut.hatenablog.com/◯わっきー (2015年TOR)
https://wacky.naturum.ne.jp/a2656402.html◯中島英摩(2017年TOR)
https://www.a-kimama.com/outdoor/2017/12/76490/◯さいことじろー さん (2013年TOR)
https://mountain-ma.com/psi/2013/12/11/%E6%84%9B%E3%81%97%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%B3/
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