2025-08-15

姿勢治療家が挑むTJARへの道 〜停滞前線の洗礼と天気図の学び〜

姿勢治療家®️の仲野孝明です。 私は今、来年開催される**「Trans Japan Alps Race(TJAR)2026」**という、過酷なレースを目標に掲げています。 この大会は、日本海から太平洋までの約415kmを、8日間以内に交通機関を一切使わずに走破するという、まさに究極の挑戦です。出場するためには数々の条件をクリアし、実地テストを経て、わずか30名ほどしかスタートラインに立てません。

この壮大な挑戦を前に、山での経験が少ない私にとって、天気図を学ぶことは「山の状態」を知るための重要な情報源になると考えました。単なる雨予報ではなく、高気圧・低気圧の位置から風向きや天気の変化を読み解き、地形と合わせて立体的に捉える練習です。

当時の天気図

先週からずっと、天気図をにらめっこしていました。8月のお盆だというのに、本州のど真ん中に居座り続ける停滞前線。 「なぜ前線は動かないのか?」「そもそもどうやってできるのか?」 この疑問を、一つひとつ紐解くように勉強する日々です。本番のレースでは、天気図を頭に入れて、空の様子から刻一刻と変わる状況を判断しなければなりません。だからこそ、天気図で想像した天気を実際に肌で体験することが、今の私にとって最も重要な課題になっています。

TJAR出場に向けた課題の一つは、**「標高2,000m以上の高地で、2泊3日以上のビバークキャンプを経験すること」です。この準備のため、連休は山に入るようにしています。 今回計画したのは、南アルプスの大半を縦走するルート。しかし山の天気専門サイト「ヤマテン」には、予想通り「大荒れマーク」**が点灯していました。

通常なら中止にするような悪天候。ですが、今回はあえて山へ入る決断をしました。 なぜか? それは、悪天候の稜線を実際に体験することで、低体温症対策の装備や、本番で命を守るための判断力を磨き上げたかったからです。机上では学べない、実践的な経験こそが、TJAR完走への道を拓くと信じています。

山頂の情報


稜線で味わった“停滞前線の洗礼”


当初は、南アルプスの大半を縦走する壮大なルートを計画していました。

  • 計画ルート: 駒ヶ根から市野瀬までロードを走り、地蔵尾根から仙丈ヶ岳、塩見岳、荒川岳、聖岳、茶臼岳を縦走し、畑薙大吊橋、白樺荘へ

駒ヶ根から市野瀬の入り口まではロードで20km。このロードですでに、熱帯のスコールのような温かい強風に煽られました。しかし、仙丈ヶ岳・地蔵尾根に入ってからの“洗礼”は、想像をはるかに超えるものでした。


天気図を頭に入れていたので、前線と天候の変化は肌で感じていました。今回は停滞前線が微妙に上下する中で、動きが鈍い状態が続いています。下から吹き上げる**暖かく湿った空気(温暖前線)と、横から叩きつける冷たい空気(寒冷前線)**がぶつかり合い、環境は一変。温暖前線の通過でガスが濃くなり、寒冷前線では雨と風が強まるなど、天気図に描かれた情報がそのまま目の前の現象として現れる感覚でした。

昨年イタリアの山岳レース「トルデジアン(TOR330)」では、もっと強い風や吹雪を経験しました。
昨年のトルデジアン・ブログはこちら
しかし、あの時は天気図を読むスキルがなく、ただ耐えるだけでした。TJAR本番では、あらゆる環境を自分で判断し、ゴールまでたどり着くことが求められます。今回の練習で、大雨と稜線での服装について、「この着方では寒すぎて危ない」という新たな発見がありました。


土砂降りの中でビバーク用ツエルトでの宿泊を予定していましたが、あまりの豪雨と、連日の寝不足、そして気温の低さから、心が折れてしまいました。

南下せず、北沢峠から戸台パークへと下山することを決断。 安全第一――これもまた、貴重な経験です。

寒過ぎて、バス停の小屋で着替えて、食事をしました。w

大雨だからこそ実地で得た3つの学び

1. パッキングは「すぐに使える」を最優先

雨が強くなると、バックパックを開けることすら億劫になります。その結果、補給を怠ったり、寒さを感じても防寒着を出すのが面倒になったりしてしまいます。今回、この行動がどれだけ体を冷やすリスクにつながるかを痛感しました。行動食や防寒着は、開けても濡れない場所に収納し、すぐに取り出せる状態にしておくことが、悪天候下での行動を左右します。

2. 首、手首、腹部を守る「熱の出口」を塞ぐ

強風と雨の中では、レインウェアのファスナーや袖口、首元から水が侵入してきます。今回はバフを着用しなかったため、特に首元から体温が奪われるのを感じました。バフで首元を覆い、ファスナーをしっかり締め、熱が逃げる「出口」を塞ぐことが、低体温症を防ぐ上で不可欠です。

3. 判断は“心が折れる前”に

「もう少し頑張ろう」という気持ちは、時に危険な罠になります。特に単独行では、すべての責任を自分で取らなければなりません。今回は、土砂降りの中でのツエルト泊シミュレーションの甘さに加えて、連日の寝不足で体力が消耗していました。もしあのまま進んでいたら、判断力が鈍り、より危険な状況に陥っていたかもしれません。体力が十分に残っているうちに下山を決断すること。これもまた、命を守るための大切な経験です。



悪天候山行で活躍したギアと今後の課題

今回の山行では、いくつかの装備や食料の有効性を実感しました。悪天候下での実践的なテストを経て、TJAR本番に向けての課題もより明確になりました。

良かった衣類

  • 山と道 アルファープルオーバー: 手に取った時は少し頼りなく感じましたが、就寝時の保温力は期待以上でした。濡れても保温力が下がりにくく、悪天候の中でも安心して眠ることができそうです。
  • 山と道 アルファーベスト: 行動中に冷えを感じた際の一枚として大活躍。雨の中でも保温性を保ち、頼りになる存在でした。

良かった食事

  • Enemotiクルミ餅: 行動食として最適な、ちょうど良い甘さでした。
  • 丸ごと一本満足バー シリアルブラック: 疲れている時でも美味しく食べられ、満足感がありました。特にチョコレートの味が良かったです。
  • カップヌードル シーフード: 文句なしの美味しさ。ジップロックに中身だけ入れていくことで、荷物を軽量化できます。

見直したい食事

サタケ 梅ジャケごはん: 次回は米米軒を使ってみます!お湯で戻すのですが、お米自体がもっと美味しいと、ふりかけなどのバリエーションが使えそうです。

COMPグミ: 胃もたれする感覚があったため、代替品を探します。

魚肉ソーセージ: 普段食べ慣れていないため、別のものを試してみます。


姿勢治療家®️が教える、今日からできる体温管理×姿勢の3つの工夫

今回の山行で得た教訓は、日常生活にも応用できます。体温管理と姿勢には深い関係があります。身体の配置(姿勢)を整えることで、体温を効率よく保つ力が引き出されます。

1. 背を伸ばし、胸郭を動かす

姿勢が良いと、胸郭が広がり呼吸が深くなります。深い呼吸は体内で熱を生み出す手助けとなり、身体を内側から温めます。デスクワークの合間に背筋を伸ばすだけでも効果があります。

2. 濡れたらすぐに対応する

登山ではベースレイヤーが直接肌が濡れるのを防ぎますが、汗や雨で濡れたままにしていると、急激に体温が奪われます。寒さを感じ始める前にインサレーション(保温着)を着用するなど、早めの対応が大切です。

3. 肩甲帯と股関節の運動量を増やす

手と足を動かすことで、全身の血流が大幅にアップします。特に肩甲骨と股関節といった大きな関節を意識的に動かすことは、身体の冷えを防ぐのに効果的です。


今回の経験で、TJAR本番に向けての新たな課題が見つかりました。次回の山行では、この教訓を活かし、さらなる準備を進めていきたいと思います。。



今回のルートとタイムライン


日程: 2025年8月10日〜8月11日

ルート: 名古屋 → 駒ヶ根 → 市野瀬公民館 → 柏木登山口 → 仙丈小屋北沢峠 → 戸台パーク(清流荘) → 茅野駅

詳細タイムライン

名古屋 18:30 発 → 駒ヶ根 21:17 着
21:45 駒ヶ根バスターミナル発
2:05 市野瀬公民館
3:40 柏木登山口
10:21 仙丈ヶ岳登山道分岐
13:00 北沢峠

駒ヶ根バスターミナルから市野瀬公民館までは、TJAR本番を想定した試走でした。

大会で使うかもしれない自動販売機の位置をチェックしたり、途中の土砂崩れでルート変更を余儀なくされたり、様々なシミュレーションをしながら進みました。

レインカバーを使いましたが、これでは雨が入ってきました。w
JR駒ヶ根駅
大会の時に使うかもしれない自動販売機をチェックしながら試走しました。
途中土砂崩れ箇所で通行止めがあり、ルート変更に。
鹿はかなりいました。
眠い目をこすりながらスタート。
コースタイム8時間の登りは想像以上に長く、豪雨の中での行動は過酷でした。
バックパックにレインカバーをつけましたが、激しい雨には耐えられず、荷物が濡れてしまいました。
コースタイム8時間の登りは長い。。
「次はアウトドア用のテムレスを試してみよう」
そんなことを考えながら進むと、つい最近倒れたばかりのような倒木が道を塞いでいました。
写真では伝わりませんが、暴風雨で身動きがとれないほどの状況です。
倒れたばかりの倒木が。。
雷鳥が出現する天気ですよね。
仙丈小屋が想像以上に立派でした。
普段はなさそうな、水の流れ。
登山道は全て雨水の流れ道に。
天気図は、さほど変わらず。
やはり、停滞前線は、温かい空気も、冷たい空気も感じるお互いに押し合っている天気図でした。

今回の山行を終えてのまとめ

今回の山行で改めて実感したのは、備えと判断が体を守るということ。それは登山に限らず、日常生活においても同じです。

都会にいると、天気予報だけで十分だと感じてしまいますが、天気図を見る習慣をつけることで、低気圧や高気圧の位置から天気の全体像を捉えることができます。

私はまだまだ初心者ですが、毎日天気図を確認し、実際の空と見比べることで、天候を読み解くスキルを磨いていきたいと思います。

あなたも、たまには天気図を眺めてみませんか?

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