ランニング中のマメ・すね・足首を守るテーピング|380km実践記録
目次
380kmを走りながら変え続けたテーピング。足指・すね・足首をどう守ったか
姿勢が変わると、人生が変わる。
姿勢治療家®️の仲野孝明です。
今回は、長距離ランニングで足を守るために実践したテーピングの工夫を、実際の写真とともに紹介します。
7Days飛脚380では、四日市から東京まで約380kmを、自分の身体で実験しながら進みました。
その中で、かなり重要だったのがテーピングです。
長距離を走る、歩く、移動し続ける。
そうなると、筋肉だけでなく、皮膚・足裏・すね・足首など、普段はあまり意識しない部分が少しずつ悲鳴を上げ始めます。
特に今回は、足裏のマメ、前脛骨筋の疲労、足首の不安定感に対して、毎日テーピングを変えながら対応していきました。
ここで大切なのは、
テーピングは貼れば良いものではない
ということです。
身体の反応を見ながら、貼る場所、幅、強さ、切り方、固定する範囲を変えていく。
そこに、姿勢治療家®️としての視点があります。
テーピングは「固定」ではなく、身体との対話
一般的にテーピングというと、
「痛いところを固定するもの」
というイメージが強いかもしれません。
もちろん、固定する目的で使うこともあります。
ただ、380kmのような長距離移動では、単純にガチガチに固定すれば良いわけではありません。
固定しすぎると、今度は別の場所に負担が出ます。
動きを止めすぎると、身体本来の連動が失われます。
皮膚を引っ張りすぎると、マメやかぶれの原因にもなります。
つまり、長距離でのテーピングは、
守るけれど、動きを殺さない。
支えるけれど、依存させない。
少しだけ固定するけれど、身体の反応を見て変える。
このバランスがとても大切でした。

足指を守るテーピング
まず最初に使い始めたのは、足指のマメ対策です。
マメは、ただの皮膚トラブルではありません。
私にとっては、身体の使い方の振り返りになります。
マメについては、前回の記事「マメは、身体の使い方の記録だった」でも詳しく書きましたが、どこにマメができるかを見ることで、その時の身体の使い方や負担のかかり方が見えてきます。
どこに摩擦が起きそうなのか。
どこが動きにくくなっているのか。
どの状態で靴の中でズレそうになっているのか。
マメの場所を見ると、その時の走り方、歩き方、疲労状態が見えてきます。
マメになる前には、皮膚に擦れそうな感覚や違和感が出ます。
その小さなサインを感じ取れるかどうかが、とても大切です。
テーピングをする目的は、単に皮膚を守ることだけではありません。
皮膚を保護しながら、
「なぜそこに負担が出ているのか」
を考え続けることが大切です。
今回も、長時間動く中で、身体の反応を見ながらテーピングを使いました。
どこを守る必要があるのか。
マメができそうな部分だけをピンポイントで守るのか。
動作をどのようにサポートするために行うのか。
毎日、皮膚のコンディションや、足全体の状態を観察しながら使い方を予想して貼り方を調整しました。

前脛骨筋を助けるテーピング
次に大事だったのが、すねの前側にある前脛骨筋です。
前脛骨筋は、つま先を持ち上げるときに使われる筋肉です。
長距離を走ったり歩いたりしていると、足を動かすたびにこの筋肉が働き続けます。
特に疲れてくると、足先がうまく上がらなくなります。
つまずきやすくなる。
足首のコントロールが落ちる。
すねの前側が張ってくる。
こうなると、ただ筋肉が疲れているだけではなく、足首や膝、股関節、さらに体幹の使い方にも影響が出てきます。
今回は、足首をサポートするテーピングを試す中で、前脛骨筋に余計なストレスがかかり、違和感が出る場面がありました。
そこで、前脛骨筋の働きを少し補助できるのではないかと考え、伸縮テーピングを使いました。
目的は、筋肉を無理やり固定することではありません。
あくまで皮膚をわずかに持ち上げるようなイメージで、前脛骨筋の働きを少しサポートし、動きを助けることが目的です。
ただし、ここも貼りすぎは禁物です。
すねの前側を強く引っ張りすぎると、かえって違和感が出ることがあります。
動きが不自然になることもあります。
大切なのは、
貼ったあとに歩いてみること。
走ってみて、身体の反応を見ること。
違和感があれば、すぐに外したり、変えること。
テーピングは、貼った瞬間が完成ではありません。
動いてみて、動作の軽さを感じるか、安心感があるかが大切です。

足首固定のテーピング
長距離になると、足首の安定性も大きなテーマになります。
足首が不安定であれば、毎日7万回以上の接地でより疲労感が出現します。
ブレが生じてくることで、膝や股関節、腰にも影響が出ます。
つまり、足首は小さな関節に見えますが、全身のバランスに関わる重要な場所です。
今回、足首の疲労を2日目に感じたためテーピングを使いました。
ただし、足首もガチガチに固定すれば良いわけではありません。
あくまでサポートとして利用しています。
道の傾斜や路面の左右の傾きにより、足首には微妙なストレスが発生します。
路面に合わせて、わずかに対応する可動範囲が必要です。
走り続けるためには、固定ではなく、足首の動きを支える考え方が大切です。
関節にストレスをかけ、動作制限を行うと、その分を膝や股関節が代償することになります。
そのため、今回の足首テーピングでは、
安定させる部分と、動かす部分を分ける
ことを特に意識しました。
守りたい方向には支えを入れる。
でも、必要な可動性は残す。
この考え方は、日々の臨床で行っている姿勢治療そのものと同じです。
身体は、必要なところは安定し、必要なところは動く必要があります。
その両方があって、はじめて楽に動ける身体になります。

5cm幅ではなく、3.5cm幅に変えた理由
今回、途中から意識して変えたことがあります。
それが、テープの幅です。
最初は5cm幅のテーピングを使う場面もありました。
5cm幅は、広く支えられる安心感があります。

ですが、微妙な幅が良くありませんでした。
ただ、長距離で使い続けると、場所によっては、特に前面部に少し幅が広すぎると感じることがありました。
広いテープで面として貼ると、保護力は感じるのですが、その分、動きが制限されることがあります。
また、しわになりやすかったり、テープの端が当たったりすることもあります。
そこで、翌日から3.5cm幅のテープに変えました。
3.5cm幅にすることで、足首の動きを邪魔しにくくしました。
わずか、1.5cmで、小さな違いに見えるかもしれません。
でも、毎日8万歩程度、1日12時間ほど移動する中では、この小さな違いが大きな差になります。
道具は、身体に合わせるもの。
身体を、道具に無理やり合わせてはいけない。
たかが、テーピングですが、テーピングの幅を変えたことで、そのことを改めて感じました。

スリットを入れて、動きを妨げない工夫
もうひとつ大切だったのが、テープにスリットを入れる工夫です。
スリットとは、テープに切れ込みを入れて、動きに合わせやすくする方法です。
筋肉はそもそも立体的で、動くたびに形が変わります。
そこに一枚のテープをそのまま貼ると、どこかに引っ張りが出たり、圧迫感が生じます。
その圧迫感が、長距離では違和感の原因になります。
そこで、必要に応じてテープにスリットを入れました。
スリットを入れることで、テープが身体の動きについてきやすくなります。
足首の曲げ伸ばしを妨げにくくなり、前脛骨筋の活動を妨げにくくなります。
皮膚への余計な引っ張りも減らせます。
これも、ただ貼り方のテクニックというより、身体の動きを観察した結果です。
テーピングは、皮膚の上に貼ります。
でも見ているのは、皮膚だけではありません。
皮膚を引き上げることで、下部の筋組織の動きをスムーズにすることを狙っています。
関節の動き。
筋肉の働き。
足裏の接地。
全身の連動。
それらを見ながら、テープの形も変えていきます。

テーピングは、身体の反応を見ながら変えるもの
今回、380kmの中で改めて感じたのは、
同じ貼り方が、毎日正解とは限らない
ということです。
初日と5日目では、身体の状態が違います。
雨の日と晴れの日でも違います。
靴下の湿り方、足のむくみ、疲労の場所、路面の状態。
すべてが変わります。
だから、テーピングも変える必要があります。
昨日うまくいった貼り方が、今日も合うとは限りません。
朝は良かった貼り方が、夕方には違和感になることもあります。
これは、治療にも通じます。
身体は常に変化しています。
だから、見るべきなのは「方法」だけではありません。
大切なのは、
その人の身体が今どう反応しているか
です。
テーピングも同じです。
貼り方を覚えることも大切です。
でも、それ以上に大切なのは、貼ったあとに身体がどう変化したかを観察することです。
楽になったのか。
動きやすくなったのか。
別の場所に負担が出ていないか。
皮膚に違和感がないか。
走り方が変わっていないか。
そこまで見て、初めてテーピングは意味を持ちます。
なお、テーピングは皮膚に直接貼るため、かゆみ・赤み・かぶれが出る場合があります。違和感がある場合は無理に貼り続けず、すぐに外すことも大切です。
テーピングに頼るのではなく、身体の使い方を見直す
ここで誤解してほしくないのは、
「テーピングをすれば長距離を走れる」
という話ではないということです。
テーピングは、あくまで補助です。
本当に大切なのは、身体の使い方です。
姿勢が崩れれば、足裏への負担は増えます。
体幹が抜ければ、足首やすねに負担が集まります。
股関節が使えなければ、膝や足首で代償することになります。
つまり、足に出ている問題は、足だけの問題ではありません。
足裏のマメも、すねの疲労も、足首の不安定感も、全身の使い方とつながっています。
だからこそ、私はテーピングをしながらも、常に姿勢を意識していました。
背伸びをする。
体幹を引き上げる。
みぞおちから動く。
足先だけで進まない。
膝から下を頑張らせすぎない。
背骨中心で身体を動かす。
テーピングは、身体の使い方を補助するものです。
身体の使い方の悪さを、無理やりごまかすものではありません。
ここを間違えると、テーピングは便利な道具ではなく、身体の声を消してしまう道具になってしまいます。
まとめ|テーピングは、身体の声を聞くための道具
380kmを走りながら、テーピングを何度も変えました。
約1週間の移動の中で、結果的に4mほどのテーピングを使いました。
足裏のマメを守るため。
足の指を擦れからサポートするため。
前脛骨筋を助けるため。
足首を安定させるため。
5cm幅から3.5cm幅に変えてみる。
スリットを入れて、動きを妨げない。
そのすべては、
「どう貼るか」
だけではなく、
「身体がどう反応しているか」
を見続ける作業でした。
テーピングは、貼れば良いものではありません。
身体を観察し、反応を見て、必要に応じて変えるものです。
長距離を走る人。
マメに悩む人。
すねが張りやすい人。
足首に不安がある人。
ぜひ、テーピングをただの固定具としてではなく、
身体の声を聞くための道具
として考えてみてください。
身体は、いつも何かを教えてくれています。
その声を無視せず、工夫しながら前に進む。
それが、長く動き続けるために大切な姿勢だと思います。
最後に
仲野整體東京青山では、痛みを一時的に抑えるだけでなく、
なぜその場所に負担がかかるのか、
どうすれば身体を壊さずに動けるのかを大切にしています。
走ると足裏にマメができる。
すねが張る。
足首が不安定になる。
長距離になると膝や腰に不安が出る。
こうした悩みは、足だけの問題ではなく、全身の姿勢や身体の使い方と関係していることがあります。
「自分の身体は、どこに負担が集まりやすいのか」
「どうすれば、もっと楽に長く動けるのか」
それを知りたい方は、ぜひ一度「からだの車検®️」として、身体の使い方を見直してみてください。
姿勢が変わると、人生が変わる。
姿勢治療家®️仲野孝明

仲野孝明(なかの たかあき)は、姿勢治療家®。1926年(大正15年)創業、100年の歴史を持つ仲野整體東京青山の四代目院長を務める。「姿勢が変わると、人生が変わる」を信条に、正しい姿勢と身体の使い方を伝える施術・指導を行う。
著書は7冊。代表作『調子いい! がずっとつづく カラダの使い方』(サンクチュアリ出版)ほか、姿勢と健康に関する著作を通じて、多くの読者に身体の使い方を伝えてきた。企業の健康支援にも力を注ぎ、法人向けに姿勢と身体の使い方を伝える「日本のオフィス健康プロジェクト(NOK)」を立ち上げた。
自身も38歳からランニングを始めた実践者であり、サハラ砂漠マラソン、アタカマ砂漠マラソン、UTMB(160km)、トルデジアン(330km)、IRONMANトライアスロンなどの過酷なレースを完走。臨床の知見と自らの身体実験を融合させ、ブログ・YouTube「姿勢の医学」・PODCAST「姿勢が変わると、人生が変わるラジオ」などで姿勢と身体の使い方を発信し続けている。





















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