「誠実に向き合う」姿勢は人も馬も同じ。福永祐一さんに学ぶ“伸ばす力”の本質
「直感を信じ、考えることで勝てる世界へ」——福永祐一さんの講演から学んだ“勝ち方”の本質
競馬の世界には、正直これまでほとんどご縁がありませんでした。
学生時代に少し競馬ゲーム”ダービースタリオン”に触れていた程度で、サラブレッドの実物も見たことがなく専門的な知識はほとんどない状態。
ただ、2022年に「日本橋から京都まで東海道五十三次を走る旅」をした際、一緒に走った方のご主人が調教師試験を受けていると聞いて、「調教師になるための試験がどれほど難しいか」を初めて知りました。
そんな経緯もあって、今回27年間ジョッキーとして活躍され、現在は調教師として新たな道を進まれている福永祐一さんの講演を伺えることは、まさに貴重なご縁だと感じて楽しみに参加させていただきました。

目次
■ 競馬との出会いは「世界観への憧れ」から
福永さんが競馬の世界に入ったのは、なんと「競馬が好きだったから」ではなく、家の向かいに憧れの武豊さんがいたから。
その世界観に惹かれ、高校卒業後に競馬学校へ。
しかも、ご自身の父も伝説的なジョッキーでしたが、事故で半身不随に。
家族の反対もあったそうです。それでも「面白そうだ」という直感を信じて進んだそうです。
「馬は、もともと人の“移動手段”。誰でも乗れるもの(笑)」
——そんな軽やかな言葉に、覚悟と遊び心を感じました。
■ センスがなくても、勝てるようになる方法
「自分にはセンスがない」と語る福永さん。
しかしその言葉の奥には、徹底した努力と分析の積み重ねがありました。
1レースごとに1時間以上かけて、
・馬のデータを頭に入れ
・どういう展開になるかをシミュレーションし
・勝つために「選択肢を3つに」を絞る
そして、レース中の展開に合わせて、選択肢を選ぶことで、レースで実行されていたそうです。
この積み重ねで、長年勝利を呼び込まれていたそうです。
特に、戦い方がさらに変わったとお話されていたのは、18回目に出場された2018年の39歳のワグネリアンで勝った日本ダービー。
18頭立てで、17番枠という最悪に近い位置からのスタート。名騎手だったお父様も、ご自身も勝てていなかったレースだったそうです。
なんとしても勝ちたい。
「勝つには、これしかない」
そう決めてると、3パターンも選択肢がなく、たったひとつの選択肢にすべてを絞った戦い方に切り替えたそうです。
そんなレースが、人生で一番のレースになったとのこと。
その後のレースは、レース展開を一択で決めて、本番で、できるかできないかのレース結果になって行ったそうです。
■ 「考える力」で勝てる世界——調教師としての挑戦
ジョッキーとしてフィジカルの限界を感じる中で、
今は調教師として「考える力」で勝つ世界に踏み出された福永さん。
「馬は自分で生き方を選べない。だからこそ、誠実に向き合う調教師になりたい」
ジョッキーとして経験する中で、いろいろ可能性を感じていたのが調教師の世界。
芝とダート、短距離と長距離の馬に、同じトレーニングや食事を与えることへの疑問。
それぞれに合わせた育て方やトレーニング方法が必要だと語る姿勢は、まさに治療家の世界にも通じるものでした。
私たちも、「鍼だけ」「手技だけ」と技術にこだわるよりも、目の前の人が良くなるなら手段を選ばない柔軟さが必要です。
現代社会は、情報過多で、自分にとって何をしたら良いのか分からなくなってしまっている方ばかりです。
だからこそ、未来のためにご本人の人生像にとって本当に大切なことを伝え、一緒に寄り添って変えていくことが必要だと、プロとして誠実であることを1番大切にしています。
人間は動物違って話せますが、本音ではないこともあるので、誠実にお話を伺うことが1番大事だと、28年の臨床の歴史では感じています。
✴︎あなたの悩みは何ですか?

福永祐一書籍
※こちらの書籍でも勉強させていただきました。
■ 面白いことしか、人は本気で取り組めない
最後に、福永さんが何度も強調されていたことがあります。
「面白いことしか、人間は取り組めない」
「直感を大事にしろ。直感は、経験値のかたまりだ」
新しい変化を起こしたいなら、違う分野から学ぶことが一番早い。
それは、まさに私が日々実感していることでもあります。
医学や解剖だけでなく、歴史や哲学、動物の動きからも学ぶ。
馬の動きでも、足の運び方や、肩甲骨の使い方など…そんな全く別の世界の視点が、自分の専門に革新をもたらしています。
■ おわりに
私がこの講演から学んだ最大のことは、
「直感を信じて、考え抜くこと」こそが、自分の道をひらく鍵だということ。
福永さんが70歳までに「調教師として歴史を残す」と語ったように、
私も姿勢治療家(R)として「人生を変える姿勢の教育を残す」ことを、これからの人生の挑戦としていきたいと思います。
あなたが今「面白い」と思っていることは何ですか?
その直感が、きっと未来の扉を開く鍵になるはずです。
姿勢が変わると、人生が変わる。
姿勢治療家(R)
仲野孝明
p.s 貴重な講演にお声がけいただき金沢景敏さんありがとうございました。
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