あなたの「健康的な食事」は本当に正しい? 人生を豊かにする「データ栄養学」のすすめ
こんにちは、姿勢治療家(R) 仲野孝明です。
私たちは日々の生活の中で、数えきれないほどの情報に触れています。特に「食と健康」に関する情報は、常に新しいものが生まれ、時に私たちを混乱させることも少なくありません。しかし、本当に大切なのは、その情報に「科学的根拠」があるかどうかです。
先日、私の患者さんである管理栄養士の方から、一冊の書籍をご紹介いただきました。「面白いですよ!」というその言葉に導かれ、私も早速手に取ってみたのです。
目次
「なんとなく良い」から「本当に良い」へ。データが示す食の真実。
今回ご紹介するのは、**佐々木敏先生の『佐々木敏のデータ栄養学のすすめ』**です。
「野菜『1日350g』の根拠はどこにあるのか?」「夏バテに豚しゃぶサラダのナゾ」「低糖質ダイエットの魅力と問題点…」。誰もが一度は抱いたことのある、食と健康にまつわる素朴な疑問に対し、佐々木先生は「科学的根拠に基づく栄養学」で、その真実に光を当ててくれます。
私たちが「体に良い」と信じて疑わない習慣や情報の中には、実は明確なデータに裏付けされていないものも少なくありません。この本を読み進める中で、私自身も「なるほど、そういうことだったのか!」と目からウロコが落ちる経験を何度もしました。曖昧な情報に振り回されるのではなく、データに基づいて「本当に良いもの」を選択する力を養うことの重要性を改めて認識させてくれる一冊です。
「データ栄養学」が、あなたの食生活を変える鍵となる
佐々木敏教授は、現代の食生活において、栄養が食事からかけ離れてしまったり、「体に良いものを手軽に」という方向に向かいすぎている現状に警鐘を鳴らしています。その結果、食事の役割が「おいしさや楽しさといった快楽の追求」が中心となり、体が本当に必要とする栄養は、食事以外のものから摂ろうとする流れがある、と指摘されています。
私自身も、これまで「食事から体に必要なものを全て摂る」という考え方で育ってきましたので、極端な栄養学や食事の偏りには常に疑問を感じていました。もちろんサプリメントや青汁のようなものは幼少期から飲む機会は多かったですが。。。
「人間は何のために食べるのか?」「食べるとは何なのか?」この本は、そうした根源的な問いに対する示唆を与え、日々の食事から姿勢、そして人生全体へと繋がる大切な気づきを与えてくれます。
確かな情報で、あなたの未来をデザインする
本書は以下の5つの章で構成され、私たちが抱く食に関する疑問や誤解を、データに基づいて丁寧に解き明かしていきます。
- 第1章 健康的な食事? その舞台裏に真実を探る
- 第2章 ビタミン 不安と誤解の根拠を探る
- 第3章 無機物(ミネラル)過剰反応と無関心の構造
- 第4章 炭水化物・糖 伝統と流行と科学のはざまで
- 第5章 データ栄養学の時代 「事実」は「思う」よりも重い
特に臨床の現場で患者さんの食生活についてお伺いする中で、私自身も気になっていた点ばかりが、データという確かな視点で解明されていくのは非常に納得感がありました。
健康情報に振り回されがちな方にとっては、まさに「救世主」とも言える一冊です。大学教授による書籍のため、専門的な内容も含まれますが、非常に短く、かつ分かりやすくまとめられているため、スムーズに読み進めることができるでしょう。
この書籍は、佐々木先生が月刊誌『栄養と料理』に連載されていた内容から抜粋し、加筆・再構成されたシリーズ2作目となっています。佐々木敏先生は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」作成にも中心的に関わるような、日本の栄養学を牽引されている方です。
そんな先生が、世界の基準では穀物の摂取について「全粒穀物を半分取り入れること」が標準的な指針として明記されているにもかかわらず、日本の基準にはその記載がないことに触れられていた点は、特に印象に残っています。
表紙の絵に隠された、現代へのメッセージ
そして、この本の表紙を飾る絵にも、深く考えさせられるメッセージが込められています。

この絵は、16世紀のオランダの画家、**ピーテル・ブリューゲル(父)が42歳の時に描いた『怠け者の天国』(原題:『豚の天国』『フランドルの諺』とも)**という作品です。
農民の生活を多く描いたことから「農民画家」と呼ばれた彼が、この絵で表現したのは、当時の貴族たちの堕落した姿。食べることがままならなかった農民と対比させ、過剰な豊かさの中で怠惰に過ごす人々を描いていると言われています。時代は、ルネサンスや宗教改革といった文化の転換期であり、ブリューゲルは貴族社会への痛烈な批判を込めてこの絵を描いたのかもしれません。
現代の私たちの食生活も、お金さえ出せばどんな食べ物でも手に入る時代になりました。しかし、便利になった一方で、食がもたらす本来の喜びや、体にとって本当に必要な栄養を見失いかけていないでしょうか? 500年近く前のこの絵が、現代の私たちの生き方、そして「人間にとっての本当の健康や幸せとは何か」という問いを、改めて投げかけているように感じます。
この本から得られる確かな知識は、あなたの食生活、ひいてはあなたの人生をより豊かにするための羅針盤となるはずです。
氾濫する情報の中から真実を見極め、あなたの心と体が本当に喜ぶ選択をしてみませんか?
ぜひ一度、手に取ってみてください。
大変勉強になりました。ご紹介いただきありがとうございました!
書籍情報
- タイトル: 佐々木敏のデータ栄養学のすすめ
- 著者: 佐々木 敏
- Amazonページ: 佐々木敏のデータ栄養学のすすめ
- Amazonページ: 佐々木敏の栄養データはこう読む! 第2版
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