2024-08-09

富士登山競走で挑戦した限界とその先へ:9月のトルデジアンへ向けて


2024年8月8日に無事に16周年を迎えた姿勢治療家(R)仲野孝明です。

トルデジアントレーニング第4弾として2024年7月26日(金)、富士登山競走に出場してきました。この大会は、富士吉田市が開催する第77回目の大会で、平日に富士吉田市役所から約4,000人が富士山を目指して登るイベントです。富士山を初めて登った時からこの大会の存在は知っていましたが、実際に走ってみると、これほど苦しいレースがあるのかと、途中で何度も辞めたくなるほどでした。

参加した理由・背景

  • ランナーと話していると、よく話題に上がる大会だったこと。
  • トルデジアンの練習の一環として、富士山に高頻度で登ることが予想されていたため。

この大会が話題になる理由は、アマチュアランナーにとって「グランドスラム」の一部として有名だからです。グランドスラムには以下の3つのレースがあります。

  • フルマラソンでサブ3(3時間以内で完走)
  • ウルトラマラソン100kmでサブ10(10時間以内で完走)
  • 富士登山競走で山頂まで完走

現在の私の実力は以下の通りです。

  • フルマラソン: 3:20:15
  • ウルトラマラソン: 10:42:25
  • 富士登山競走: 未走行

この実力位置から、グランドスラムの難しさが非常によく理解できます。マラソンを始めた当初は、サブ4とサブ3.5の違いすらさほどわかりませんでしたが、今ではサブ3とサブ3.5の間には次元の違うスピード差があることを痛感しています。それは、小学生と中学生のマラソン大会ぐらいのスピード差があるのと同じです。

いきなり富士登山競走の山頂コースには参加できませんが、五合目を完走すると翌年には山頂コースへのエントリー権が得られます。申し込みは3月25日に開始され、私は迷わずエントリーしました。

レース前の準備

トレーニング

トルデジアンに向けて、サロマ湖ウルトラマラソンを目標に、100kmの走り込みを行ってきました。その後のトレーニングは以下の通りです。

  • ゼロ富士ゼロ(7月7日): 富士山を舞台にしたトレーニングレース。
  • 北アルプス縦走(7月14-16日): 高山での連続登山による耐久力の強化。
  • 1000m+2000m インターバル×2本(7月22日): スピードと持久力を同時に鍛えるためのインターバルトレーニング。
  • ジョギング10km(7月23日): 調整としての軽めのジョギング。

装備

  • ノースリーブTシャツ & 短パン: 軽量で動きやすいウェアを選択。
  • ゼッケンベルト: ゼッケンを固定しつつ、装備品を軽量化。
  • サングラス & サンバイザー: 炎天下での紫外線対策として使用。
  • 補給: コーダジェル3個(エネルギー補給用)。
  • 電解質: コーダ2個(電解質補給用)。
  • 350ccボトル(サロモン): 軽量で持ち運びやすいボトルで水分補給。

 

レース前日

予約受付会場は、よくイベントで参加している富士北嶺公園です。今回が初めての参加だったため、アクセス方法を慎重に検討しました。最終的には以下のルートを選びました。

  • 新宿バスタ → 河口湖駅: 高速バスを利用して移動。
  • レンタカー(18時〜8時まで): レンタカーを借りて、大会受付場所への移動、コースの下見(馬返しまで)、および宿泊先への往復をこなしました。

受付会場

会場のお店を見ながら歩いていると、「仲野先生!」と声をかけていただきました。声の主は、Rufus & Company合同会社の野口真さんでした。

野口さんは、ランニングバンドを開発したNaked社の商品を取り扱っており、以前まで使用していたコンプレスポーツやインスティンクトがちょうどくたびれてきたので、試着させていただきました。

当初、ランニングバンドはコンプレスポーツが作ったものだと思っていましたが、実はNaked社が最初に開発したメーカーだと知り、勉強になりました。商品の最大の特徴は、12種類ものサイズ展開から選べることではないでしょうか?UTMBの会場で出会ったインスティンクトや、CCC2019で購入したコンプレスポーツも試着しましたが、ロングのランで少し窮屈に感じることがありました。しかし、Nakedの12サイズ展開から店長に選んでもらって試したところ、これまでの感覚よりも苦しくなく、ぴったりフィットしました。

Naked Running Band(ネイキッドランニングバンド)の特徴は以下の通りです:

  • 超通気性・速乾性: ネイキッド®エクソパワー・メッシュを採用。
  • 抜群の揺れにくさ、擦れにくさ
  • 2L超の収納力: 500mlフラスクを3つ収納可能。
  • エネルギージェル、バー、サングラス、ヘッドランプなどの携帯が可能
  • 大型スマートフォンを安全に収納可能
  • レインウェアやトレッキングポールの携帯に役立つシリコン製グリップループ
  • ゼッケンホルダーにゼッケンを装着可能
  • 大事な鍵の紛失を防止する内部マイクロクリップ
  • 4カラー/12サイズ/男女兼用

リンク: Naked Running Band (ネイキッドランニングバンド)

 

12サイズには驚かされました。他のメーカーはサイズ展開を少なくしています。作る側の気持ちを考えると、できるだけ少ないサイズでカバーできるようにしたいはずですよね。しかし、Naked社の創設者である兄弟は、ウルトラトレイルランナーでありトライアスリートであるため、微妙なフィット感を重視しているのだと思います。

  • メーカー: サイズ展開を増やしたくない。
  • 利用者: サイズ選びがしにくい。

このバンドは、一度使うとリピートしたくなる商品かもしれません。もう少し使ってみて、トルデジアンでも使用するかもしれません。

 

ふと横を見ると、ストライドラボ初代店長のばばさんまでいらっしゃいました!世の中は本当に狭いですね。

コース下見

浅間神社から馬返しまで、初めての方である夏目さんと一緒に車でコースを下見しました。たった10kmとのことですが、ずっと登りが続くため、かなり長く感じました。

宿泊先

今回の宿泊先として、サンダンスリゾート山中湖を利用させていただきました。久しぶりの滞在でしたが、リゾート全体が綺麗に保たれており、快適に過ごすことができました。チェックインが遅くなってしまい、少しもったいない気もしましたが、翌朝には見事な富士山の景色を楽しむことができました。

当日レース会場_預け荷物まで

宿泊先からレンタカーで河口湖駅へ向かいました。車を返却した後、電車に乗り換え、7時発の電車で富士山駅へ移動しました。

お天気は快晴で、富士山がしっかりと見えていました。
富士急の富士山駅に到着後、まずトイレを済ませてから、会場の吉田市役所へ向かいました。


山頂の部が7時にスタートするため、多くのランナーが富士山駅から吉田市役所まで歩いていました。この道の真下を走り、富士山五合目を目指すことになります。

いやー、今日は暑くなりそうです。

荷物預け

荷物は2種類に分けて預けます。

  1. 「レースの後すぐに受け取る」荷物
  2. 「レース終了後、バス移動の後で会場で受け取る」荷物

私たちは、五合目コース終了後に荷物を受け取り、そのまま山頂に登る計画でした。そのため、「レース後に受け取る荷物のみ」を預けました。この荷物を入れる袋は緑色ですが、サイズが小さくて少々困りました。夏目さんの荷物は、ガムテープでぐるぐる巻きにされていたそうです。

 

預けられないことはなさそうです。

帰路のバスが五合目から準備されていますが、その最終便は14時です。もっとも、私たちはこのバスを利用する予定がなかったため、特に関係はありませんでした。

レーススタート前

スタートラインに早めに着くため、8時ごろからゆっくりとストレッチやトイレを済ませていました。

この日の天候には、タンクトップかノースリーブが最適な服装でした。

私のグループはHグループでしたが、スタートを待っていると、プラカードHを持っていた方が、私がストレッチしていた場所に声をかけてくれました。そのおかげで、Hグリッドの一番前に並ぶことができました。

ベテランの参加者から、「とにかく一番前にいないとチャンスがなくなる」とアドバイスをいただいていたので、その教えを忠実に守りました。

スタート前のトイレ情報

トイレの設備は非常に充実していました。さすが77回目の大会というだけあって、混雑もなく空いていました。富士山も見事に見えていました。

 

プラカードを持った方に案内され、Hグループは超炎天下の中、なぜか座って待つことになりました。バイザーを後ろ向きにかぶり、首筋を日焼けから守りたくなるほどの暑さでした。

レーススタート(9:00)

スタート前に、最年長ランナーによる選手宣誓が行われました。「健康に産んでくれた両親に感謝する」という内容で、会場全体がクスッと笑い、温かい空気に包まれました。

スタート → 浅間神社(9:16)

レースは9時にスタートし、目標は9時15分に浅間神社に到達することでした。しかし、スタート直後からものすごいきつい坂が待ち受けていました(笑)。

浅間神社の計測ポイントまでの3kmでは、ラップタイムが以下の通りでした:

  • 1km: 5’02″/km
  • 2km: 5’15″/km
  • 3km: 5’29″/km

皮算用では5’00″/kmを目標ペースとしていましたが、この時点で心拍数は177に達し、ほぼMAXの状態でした。

まさかの開始15分でオーバーヒート。このままでは無理だと感じ、正直、もう止めようかという気持ちが芽生えました。その感覚はデータにもはっきりと現れていました。

浅間神社 → 中の茶屋(9:42)

浅間神社から中の茶屋までの区間も約4kmほどあります。中の茶屋への到達目標時刻は9:38でしたが、実際には4分遅れで到着しました。ログを確認すると、ペースが確実に落ちているのが分かります。

  • 1km: 6’00″/km
  • 2km: 6’16″/km
  • 3km: 6’33″/km
  • 4km: 7’03″/km

この区間の目標ペースは5’30″/kmでしたが、全く歯が立たず、結果的に4分の遅れとなってしまいました。

 

中の茶屋 → 馬返し(10:12)

馬返しへの到達目標時刻は10:05でしたが、実際には7分遅れて到着しました。この区間は約3kmほどありましたが、ログを確認するとペースが明らかに落ちています。

  • 1km: 7’48″/km
  • 2km: 7’39″/km
  • 3km: 7’55″/km
  • 最後の部分: 10’23″/km

心拍数も以下のように推移していました:

  • 169 → 177 → 181 → 174

「馬返しまでで勝負が決まる」と聞いていたので、絶対に歩かないことだけを決めて走り続けました。最大心拍数は181に達し、もはやレースとしては限界でした。しかし、この結果がなんとか合格タイムにつながりました。

 

全体では、馬返しまでが10kmで、馬返しから山頂まではさらに5kmあると言われています。

馬返し → 五合目(11:16 ゴール!!)

山頂への到達目標時刻は11:20でしたが、実際には11:16に五合目にゴールしました。

ほぼ早歩きのようなペースでのレースになりましたが、腓腹筋が攣りそうになったりする場面もありました。1合ごとに腕時計でタイムを確認しながら、登り続けました。

心拍数は次第に落ち着き、174から169程度まで下がりました。もし初めからこのペースで進めていれば、もう少し余裕を持ってゴールできたかもしれません。

死にそうになりながらも、「もうやめたい」と何度も思いましたが、なんとか無事にゴールすることができました。

結果

富士登山競走、五合目までの結果は2時間16分21秒で終了しました。

カロスのデータでも、完全に燃焼しきったことが示されていました。

 

心拍数もマラソン大会で見たことのないハイペースで、最大心拍は185、平均心拍は171でした。もう限界ですね(笑)。

今回の大会は、自分の力を完全に出し切った「オールアウト」のレースになりました。

本当に苦しかったので、来年はマラソンの練習をしていない限り出場しないかもしれません。ウルトラマラソンの練習では、どうしてもロングに偏ってしまうので、レースの組み方としては必ずしも最適とは言えませんでした。やはり、スピード系のトレーニングでトップスピードを上げた段階で挑むことが大切だと感じました。

 

富士登山競走五合目レース終了後 山頂へ向かう編

五合目のゴールにたどり着いた時には、疲れ切ってボロボロの状態で、もう歩けないかも…と思いました。しかし、ここからが本当の練習の始まりです(笑)。

もし夏目さんがいなかったら、間違いなく帰宅していたことでしょう(笑)。記念撮影を終えた後、準備を整えました。

転がっていた荷物を身につけ、山頂に向けて登り始めます。

レースチップも、マラソン大会なら外してくれますが、ベテランしかいない富士登山競走ではセルフサービスです。

これからのタイムを、ブログを書きながら振り返っていきます。

12:11 吉田口新六合

ここからは、かかった時間を記載します。

ここからは、かかった時間を記載します。

  • 吉田新6合: 0:18
  • 花小屋: 0:48
  • 7合目トモエ館: 1:04
  • 東洋館: 1:22
  • 太子館: 1:38
  • 8合目白雲荘: 2:00
  • ご来光館: 2:42
  • 山頂: 3:14

ざっとこんな感じで山頂に到達しました。

お天気は良好でしたが、疲労感はマックスでした。

ここまで来れば、吉田口はもうゴールも同然です。

「山頂でゼッケンをつけたまま写真を撮る」というのは、五合目までの苦しさを体験した上で山頂に到達すれば、自分の実力や山頂コース完走者の気持ちがわかるのではないかと思ったからです。

そんなわかりやすい服装だったため、五合目のレースに参加されていた鈴木さんに声をかけていただきました。鈴木さんは、ランニングを始めて3年で、富士登山競走では私よりも速いタイムを出しているそうです(笑)。さらに、100マイルレースも完走されており、帰りも走って、大会で準備してくれていた駐車場まで自ら走って帰るとのこと。すごい方がいますね!

この日は、天気が崩れるかもしれないと言われていましたが、なんとか持ちこたえました。

 

須走吉田下山道でも、お天気はもちそうです。そこから一気に五合目まで下ります。

山頂→6合目
3:33→4:28
極度の疲労感でしたが、6合目までは、1時間弱。
8’30″/kmぐらいで降りているようです。

6合目 → 馬返し
4:38 → 5:42
1時間4分で馬返しに到着しました。馬返しから五合目までがレースで1時間3分だったことを考えると、人間の足は上りも下りもさほど変わらないんですね(笑)。

 

馬返し → 中の茶屋
5:45 → 6:08
ログを見て気づいたのは、下りでも6’30″/kmで走っていたことです。意外に遠いと感じていたのですが、登りも下りもレースになると早くなるんですね。

中の茶屋 → 浅間神社
6:09 → 6:35
6’00″/kmぐらいのペースで降りてきて、有名な「富士夫婦檜」の前で記念撮影をしました。

ここまで来て、ゆっくり帰りたかったのですが、バスの時間が予約変更できず、タイトなスケジュールであることが発覚しました。

最後も6’00″/kmぐらいのペースで降りて、なんとか着替えてバスに乗り込みました!


富士山駅→バスタ新宿へ

レース後

合計: 6時間57分 / 距離28.24km

レースと合わせると:

  • 時間: 2時間16分
  • 距離: 15.17km

7月26日のトータル:

  • 時間: 9時間13分
  • 総距離: 43.41km

最高の練習になった1日でした。

 

ゴール後の感想

  • 達成感: 午前7時に富士山駅に到着し、再び19時前に戻ってきた喜びが格別でした。
  • 教訓: 富士登山競走に出るなら、スピード練習をして馬返しまで走り切る力をつけることが必要だと感じました。その後はなんとかなるはずです。 次回出場するなら練習は馬返しまでのロードをしっかり行いたいと思います。

まとめ

考えられなかった練習が、想像できるようになり、実際にやってみるとできてしまうことが多々あります。人間の能力の限界はどこにあるのか、本当に不思議に感じます。人間本来の能力は、姿勢によって開花するだけでなく、体験を重ねることでさらに豊かな想像力を持ち、次なる挑戦を考えるようになります。

終わりがどこにあるのかはまだわかりませんが、まずは9月のイタリア・トルデジアンでしっかりと走り切り、笑顔で帰国したいと思います。健康な体でいられること、そして姿勢治療家として姿勢を検証できることに、何より幸せを感じています。

1人でも多くの方が挑戦できるように、日常生活の基本「暮らしの解剖学」を学び、身につけていただければと思います。


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