2024-08-23

直立二足歩行の進化と現代社会への警鐘:高野進さんの走る哲学に共感して


素晴らしい書籍をご紹介いただき、拝読させていただきました。この書籍は、日本人全員をアスリートにし、人間本来の健康を取り戻そうとする内容です。
著者は、1992年バルセロナオリンピックの400mで決勝進出を果たしたオリンピアン、高野進さんです。

高野さんは、「走ること」を極めた経験を持ち、現代の近代化された社会で、快適さを追求するあまり、人間本来の本能である「走る」という行為が忘れ去られつつあることに警鐘を鳴らしています。その結果、肉体や精神に問題が生じる危険性があると指摘しています。

人間は直立二足歩行が基本であり、それによって文明を築いてきました。しかし、逆にその進化が、直立二足歩行をしなくても良い社会を作り出し、人間本来の力が失われつつある状況に対する懸念がこの書籍には込められています。

姿勢治療家(R)である私も、人類は「走る動物」であるという考えに基づき、警鐘を鳴らしてきました。そのため、この書籍には大きな共感を覚えると同時に、健全な未来を残すために共に歩む同志がいるような心強さを感じました。


1. 書籍の概要

  • タイトルと著者: 「走れ!ニッポン人一億三千万総アスリート計画」
    著者: 高野進
    https://amzn.to/3AJT9Wl高野進さんは、400mのオリンピック選手で、ロスアンジェルス、ソウル、バルセロナ大会に出場し、60年ぶりにバルセロナ五輪では決勝に進出されました。現在、東海大学体育学部で教育に携わりつつ、陸上競技部監督兼短距離コーチとして後進の指導も行っています。また、NPO法人日本ランニング振興機構を立ち上げ、「日本人総アスリート計画」を掲げて、ランニングの普及・振興に努められています。
  • ジャンルとテーマ:
    本書は、運動経験が少ない人が、走ることに興味を持つように書かれています。著者は、人間の本来の動きである「直立二足歩行・走行」を再考し、その重要性を伝えています。

2. 内容の要約

  • ストーリーや主なポイント:
    高野進さんは、走ることで多くの困難に直面しながらも、指導者のアドバイスを素直に受け入れ、競技種目を変えていく姿勢を持たれていました。特に「ポジティブ・ノンレジスタンス」という考え方を重視し、周囲の期待に応えることを大切にしています。彼が400mに出会った際、すぐに日本記録に近いタイムを出したことや、日本選手権で日本新記録を樹立した後でも、カール・ルイスを育てたトム・テレツ監督からの指導を受けること。そして課題をだされた「プッシュ」と「ナチュラル」の2つの要素が重要だと学び、自身で体得していたことを、頭で理解しなおしなら検証される謙虚さも印象的です。また、日本人と西洋人の骨盤の違いから生じる走り方の意識の違いについても触れられています。現代人が走らなくなった背景には、農業革命、産業革命、情報革命という三大革命が影響しているという考察が示されています。

3. 感想と分析

  • 印象に残った点:
    二足歩行が人類を他の動物と差別化する決定的な要素であることに改めて気づかされました。著者は、走ることが人間の本能であると強調し、その本能が現代社会で失われつつあることに危機感を抱いています。
  • 共感した点:
    二足歩行が文明の発展を支えた進化の象徴である一方で、便利な生活がその重要性を奪っている点に深く共感しました。また、走りながらのコミュニケーションが重要であるという視点にも共感しました。
  • 歩かない、走らないことのリスク:
    現代社会では、歩くことや走ることが減り、便利なツールに依存することで、身体の本来の能力が衰えています。これが骨格や神経の働きに悪影響を与え、老化を加速させるリスクを高めています。
  • 姿勢の実験としての330km挑戦:
    姿勢治療家としての探求の一環で、私はイタリアの330kmを150時間(トルデジアン)で走る挑戦を計画しています。この挑戦は、現代社会で失われつつある「走ること」の価値を再認識し、その実践が身体や精神にどのように影響するかを探るものです。高野進さんの本を通じて、この挑戦がより意義深いものになると感じています。
  • 著者の意図:
    著者は、走ることが人間にとって本能的な行動であり、その価値を再認識する必要があると訴えています。特に、走りながらのコミュニケーションが人間本来の能力を高める手段であると強調しています。
    An impactful illustration symbolizing the importance of bipedal walking and running to overcome the challenges posed by the Agricultural, Industrial, and Information Revolutions. The image should feature three distinct layers: one representing the Agricultural Revolution with images of farming and early tools; the second layer representing the Industrial Revolution with factories, machinery, and urbanization; and the third layer representing the Information Revolution with computers, digital networks, and technological devices. In the foreground, a human figure walking and running dynamically, symbolizing the return to natural physical movement, should be prominently displayed, illustrating how bipedalism is crucial in adapting to and thriving despite these revolutions.

4. この本があなたに与えた影響

  • 学びや気づき:
    農業革命、産業革命、そして情報革命が人間の身体活動を奪ってきたという視点は非常に興味深く、自分自身の生活にも強い危機感を覚えました。特に、情報革命がもたらす身体の不活性化については、もっと意識的に身体を動かす必要があると痛感しました。また、健全な社会とは、人々が歩きやすく、走りやすい街づくりを進め、人間の本能的な動作を奨励することが不可欠であると再認識しました。
    山手線の各駅にシャワールームを作ってほしい。走りやすい公園や街づくり。歩行者優先の100年後の街など。
  • 実生活での応用:毎週行っている「水曜飛脚」の6kmランニングでは、コミュニケーションの要素をさらに取り入れることが、この書籍から得た実践的な教訓の一つです。参加者との対話を通じて、走ることの楽しさとその意義をより深く共有していきたいと考えています。

    また、東海道53次のランニングでも、多くの方と走りながら話す中で生まれた豊かな思い出が残っています。今後は、山手線ランなど、ゆっくり走りながら話せるイベントを定期的に開催しようと考えています。

    さらに、走れる大人を増やすために、今できることをもっと発信することの重要性を感じました。山や雪の中でのイベントなど、多様なアクティビティを通じて、より多くの人に走ることの魅力を伝えていきたいと思います。

    特に「老化は脚から」という考えを広め、足を動かすことで健康寿命を延ばし、歩けなくなることで急速に老化が進行するという危機感を、多くの人に伝えることが大切だと感じました

     


5. 総評とおすすめ度

  • 総合評価:
    この書籍は、走ることの意義や人間の本来の能力に対する深い洞察を提供しており、5段階評価で「4.5」をつけたいと思います。
    販売終了しているので、手に入りにくいです。
  • おすすめする読者層:
    運動をしていない人で、自分の足で動ける生活を続けたい人
    特に、歩くこと・走ることに優先順位が低い方

6. 最後に一言

  • 感想のまとめ:
    高野進さんの「走れ!ニッポン人一億三千万総アスリート計画」は、走ることの意義を再認識させてくれる一冊です。
    便利で快適な現代社会に生きる我々こそ、走ることが持つ意味を理解する必要があります。
    人間が人間らしく健康的でアクティブな生活で過ごせる時間を伸ばすに大切な考え方が掲載されています。
    ぜひ自分自身の身体と向き合いながら、歩いたり走ってみてください。
    本来のパフォーマンスが上がるだけでなく、多くの方が一緒に健康で過ごせる、健全な社会を作るためにも、私たち一人ひとりが歩き、走ることの大切さを忘れないようにしたいものです。イタリアで150時間、不健康なぐらい走ってきますので、その時に再度人類のあるべき姿を感じれるかと個人的に楽しみにしております。

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